命の選択(小説現代ショートショートコンテスト没作)

 橋が崩壊した。橋の上を歩いていた、男、男の彼女、男の母親の三人は、川の中へと投げ出された。

 彼女と母親は溺れていた。男は二人とも助けたかったが、川の流れは激しく、同時に二人も助けられそうにはなかった。男はとっさに溺れている彼女の手を掴みながら川岸へと泳ぎ、何とか助けることに成功した。しかし、その時すでに母親は遠くまで流されており、救助は諦めるしかなかった。

 この様子を、偶然近くの気象カメラが捉えていた。その映像は、各局の報道番組にこぞって放送され、彼女を助けた男を称賛する声が挙がる一方で、母親を見捨てたことを非難する声も目立った。

 

 橋が崩壊した。橋の上を歩いていた、男、男の彼女、男の母親の三人は、川の中へと投げ出された。

 彼女と母親は溺れていた。男は二人とも助けたかったが、川の流れは激しく、同時に二人も助けられそうにはなかった。男はとっさに溺れている母親の手を掴みながら川岸へと泳ぎ、何とか助けることに成功した。しかし、その時すでに彼女は遠くまで流されており、救助は諦めるしかなかった。

 この様子を、偶然近くの気象カメラが捉えていた。その映像は、各局の報道番組にこぞって放送され、母親を助けた男を称賛する声が挙がる一方で、彼女を見捨てたことを非難する声も目立った。

 

 橋が崩壊した。橋の上を歩いていた、男、男の彼女、男の母親の三人は、川の中へと投げ出された。

 彼女と母親は溺れていた。男は二人とも助けようと、溺れている彼女と母親両方の手を掴んだが、川の流れは激しく、三人まとめて流されてしまった。

 この様子を、偶然近くの気象カメラが捉えていた。その映像は、各局の報道番組にこぞって放送され、彼女と母親を二人とも助けようとして自らも命を落としてしまった男を、誰もが称賛した。