爆笑問題カーボーイショートショートショート(テーマ:推理もの)没作【ルパン十三世】

「お父さん、僕、大人になったら警察官になりたい」

 息子の突然の告白に、ルパン十二世は激怒した。

「何を馬鹿げたことを言っているんだ。お前は華麗なる大泥棒一族のルパン十三世なんだぞ。これまでご先祖様達が代々築き上げてきた大泥棒の伝統を壊すなんて許される訳がないだろ」

「お父さん、ちょっと冷静になって考えてみてよ。犯罪者を捕まえる立派な職業の警察官になりたいっていう息子に対して、人様の物を盗む最低な犯罪者の泥棒になれという父親。どう考えたって馬鹿げたことを言っているのはお父さんの方だよ」

「言われてみたら確かにお前の言う通りだ。よしわかった。頑張って立派な警察官になるんだぞ」

 それから十年後、ルパン十三世は警察官採用試験に見事合格し、無事警察官となった。

「それでは、警察官合格を祝して、カンパーイ」

「ありがとう父さん。これで俺もようやく警察官になれたよ」

「あれ? まだ少ししか飲んでないのに、急に眠気が……」

 ルパン十二世が突然眠りに着くと、ルパン十三世はルパン十二世に手錠をかけた。

「ごめんね父さん。酒に睡眠薬を入れておいたんだ。警察官となった今、目の前にいる大泥棒を見逃す訳にはいかないからね」