爆笑問題カーボーイショートショートショート(テーマ:片思い)採用作【うんこマン】

「ブリブリブリブリ」 

 授業が終わるまであと一分というところで、私はついに力尽きた。スカートの隙間から、どろどろの茶色い液体が滴り落ちる。 

「何か臭くね」 

「ちょっと見て。あいつ、うんこ漏らしてんだけどー」 

「うわーまじないわー」 

 クラスメート達の、容赦ない言葉が飛び交う。 

「ちょっとみんな静かに。田中、保健室に行って着替えてきなさい。今日はもう帰っていいから」

 翌日。私が教室に入ると、クラスの男子達が近づいてきた。 

「お前、今日からあだ名うんこマンな」 

「おはよううんこマン」 

「うんこマン、今日はうんこ漏らすなよ」 

 私は何も言い返すことができず、その場にうつむいたまま涙を浮かべていた。 

「おい! みんなやめろよ!」 その声は、学級委員のケンジ君だった。 

「田中は女の子なんだぞ。うんこマンなんてあだ名付けたらかわいそうだろ」 

 ケンジ君ありがとう。こんな私をかばってくれて。私はその瞬間、ケンジ君のことが好きになった。 

「田中は女の子なんだから、うんこマンじゃなくてうんこウーマンにしないと」 

 私の淡い初恋は、一瞬で砕け散った。