爆笑問題カーボーイショートショートショート(テーマ:片思い)没作【ルーマニア】

 今日の合コンに、変わった男がいた。カレー臭が漂うその男性は、カレーマニアだそうだ。友達からはルーマニアというあだ名で呼ばれていた。彼は結構イケメンなのだが、その極度のカレー好きが災いし、なかなか彼女ができないそうだ。この出会いは、私にとってチャンスだった。実は私も、カレーが大好きなのだ。私は彼と連絡先を交換した。

 その後も私は、彼と連絡を取り合い、何度かデートもした。デート先はもちろん、カレー屋さんだ。彼が紹介してくれるカレーは、どれも絶品だった。 

 そして今夜、私は彼の家に初めてお呼ばれすることになった。彼の部屋には様々なレトルトカレーやスパイスが置かれていて、予想していた通りのカレー部屋だった。カレー談議に花を咲かせながら、珍しい激辛のレトルトカレーを食べたりして楽しんでいた。激辛のカレーを食べたせいか、私は汗だくになっていた。

「すごい汗だね。風呂沸かすから入っていきなよ」

「それじゃあお言葉に甘えようかな」

 彼が風呂場の方に向かうと、

「追いだきをします」

 という機械の音声が流れた。

「着替えてる間に沸くと思うから。これバスタオル」

「ありがとう」 

 私が脱衣所に向かうと、なぜだか強いカレーの匂いがしてきた。疑問に思いながらも服を脱ぎ終わると、バスルームに入り、風呂のふたを開けた。

「キャー!」 

 そこには、浴槽いっぱいのカレールーが……。