爆笑問題カーボーイショートショートショート(テーマ:片思い)没作【メロメロビーム】

 発明家のブライアンは、美しいメアリーに片思いをしていた。しかし、メアリーには全く振り向いてもらえなかった。そこでブライアンは、メアリーを自分に振り向かせる道具を発明するため、毎日研究に没頭した。 

 一年後、ついにその発明が完成した。ピストルのような外見のその道具は、引き金を引くとビームが発射される。このビームに当たった者は、引き金を引いた相手にメロメロになってしまうのだ。ブライアンはこの道具を、メロメロビームと名付けた。

 早速ブライアンは、ビームをメアリー目がけて発射した。ビームはメアリーに直撃し、メアリーはたちまちブライアンにメロメロになった。

「ブライアン、大好きよ。私と結婚しましょう」

「もちろんさメアリー」

 こうして、二人の新婚生活が始まった。結婚当初はラブラブだった二人だが、半年も経つと、少しずつメアリーの態度が冷たくなっていった。どうやら、メロメロビームの効果が薄れてきたらしい。ブライアンはもう一度、メアリーにメロメロビームを当てた。しかし、ほとんど効果はなかった。メアリーに、メロメロビームの耐性ができてしまったのだ。

 そこでブライアンは、メロメロビームを改良し、さらに強力なビームを発明した。その名も、メロメロメロビーム。ブライアンが改良したビームをメアリーに当てると、たちまちメアリーはブライアンにメロメロになり、新婚の頃のようなラブラブな生活がまた始まった。  

 二〇年後。態度が冷たくなってきたメアリーに、ブライアンはまた、改良したビームを当てた。その名も、メロメロメロメロメロメロメロメロメロ……。