爆笑問題カーボーイショートショートショート(テーマ:家族)没作【真似】
「お母さん、この男の子が僕の真似をしてくるよ」
「それはね、鏡にケンちゃんの姿が映っているのよ」
ケンちゃんはまだ三歳で、お母さんにそう言われても、よく理解できなかったようだ。ケンちゃんは懲りずに鏡の前で、一生懸命に体を動かしていた。
一時間後。
「やったー。お母さん、この子、僕が挙げる手と逆の手を挙げたよ」
「そんな訳ないでしょ。きっと見間違いよ。そんなことより、今夜はケンちゃんの大好きなハンバーグよ。もうすぐできるからね」
「わーい」
ケンちゃんは鏡の前を離れ、食卓へと向かった。
(あいつ、やっと行ったか。あんなにしつこくやられたから、ついミスっちまったぜ。全く。ガキ相手は疲れるな)
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