爆笑問題カーボーイショートショートショート(テーマ:アイドル)没作【握手】
町を歩いていると、大きなリュックを背負った人気アイドルのリカちゃんが歩いていた。僕は思わず声をかけた。
「あのーもしかしてアイドルのリカちゃんですか?」
「はい、そうですよ。良かったら握手しましょうか?」
「え、いいんですか。ありがとうございます」
このあとリカちゃんは、僕の手を強く両手で握りしめたまま、満面の笑顔でずーとおしゃべりをしてくれた。プライベートなのにこんな神対応をしてくれるなんて、この子めちゃくちゃ良い子だな。僕は完全にリカちゃんのファンになっていた。今度CD買って、握手会にも行ってみようかな。
「あっ、もうこんな時間だ。僕そろそろ行かないと」
「え―もう行っちゃうんですか。リカ寂しいな」
「今日は本当にありがとうございました。それじゃあこれで」
「あっ、ちょっと待ってくださいね」
そう言うとリカちゃんは、大きなリュックの中から電卓と大量のCDを出し始めた。
「えーと、私が握手し始めてから丁度10分たったので、600秒。CD一枚につき握手10秒なので、CD60枚のお買い上げで合計6万円になります」
「えー金取るのかよ!」
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