安達弾~打率2割の1番バッター~ 第30章 もうすぐ夏の甲子園開幕⑬

 ここで、2度目のユーチューブの広告が入った。

「うわーここで挟んでくるか」

「しかもまたスキップできないタイプの奴」

「あーイライラする」

「確か課金したら広告消せるんだよな。西郷、お前今からでもユーチューブプレミアムに入れよ」

「嫌ですたい。あっ、でも先輩が代わりに月額1200円負担してくれるなら考えますたい」

「そんなすんのかよ。随分ぼったくるんだな」

 そんな会話をしている内に、広告が終わりまた本編が始まった。

 準決勝
    123456789 計
 桜館 000000000 0
 腕金 10010010✕ 3

『5回以降も、古田君のナックルは衰え知らず。実力者揃いの桜館打線ですらバットに当てるだけでも難しく、一向にヒットが出ないまま試合終了。フォアボールによる出塁が3回あったためパーフェクトこそならなかったものの、古田君は去年20点も取られた強豪桜館高校相手にノーヒットノーランを達成したのでした。この試合直後の、古田君のインタビュー映像がこちらです』

「えっ! ノーヒットノーランだったんですか。道理でお客さんの歓声が凄いなあと思いましたよ。全然気が付きませんでした」

『この衝撃的な準決勝の翌日、古田君はノーヒットノーランの勢いそのままに、決勝戦の先発マウンドに今度は右で立ちました』

 決勝
    123456789 
 大正 00000000
 腕金 01002010

『昨日のノーヒットノーランの興奮も冷めやまぬ中、古田君は更なる伝説を残そうとしていました。なんと、右で先発した昨日の試合に引き続き左で先発した今日の試合でも、古田君はノーヒットピッチングを続けていたのです。しかもこの試合では、ヒットだけでなくフォアボールまで0というパーフェクトピッチング。観客達が固唾を飲んで見守る中、古田君が9回のマウンドに上がると、先頭バッターをセカンドフライ。2人目のバッターをキャッチャーフライに打ち取り、前代未聞のノーヒットノーランからの完全試合まであと1人と迫りました。そして……』

 番組の最初にも流れた、エースの古田がラストバッターをストレートで空振り三振に打ち取った映像が流れる。

 決勝
    123456789 計
 大正 000000000 0
 腕金 01002010✕ 4

『準決勝は右、そして決勝は左という二刀流によるノーヒットノーランからの完全試合。これは言うまでもなく、高校野球の長い歴史の中でも初となる大記録でした。こうして、夏の甲子園秋田代表の出場を最高の形で決めた腕金高校野球部ですが、古田君の二刀流劇場はまだまだ続きます。秋田の皆さん、奇跡の二刀流古田輝希君有する腕金高校が全国の舞台で大暴れする二刀流劇場第二幕を、絶対に見逃さないでください』