安達弾~打率2割の1番バッター~ 第30章 もうすぐ夏の甲子園開幕⑫

     123456789 計
 緑ヶ丘 000000001 1
 腕金  32002015✕ 13

『春季大会での敗北から1週間後に行われた練習試合。右で先発した古田君は、菊池君の助言通り初回から全力投球を続けました。その結果、なんと8回途中までを無安打12奪三振という驚異的なピッチングをやってのけます』

「菊池、サンキューな。おかげで完全に克服できたぜ」

「まだまだこんなもんで満足されたら困るぞ。9回は完全にガス切れで失点してたしな。9回までこの調子で投げ続けるためには、まだまだ鍛えねえと」

「菊池の言う通りだ」

「安田監督!」

「夏の大会まであと2か月を切っている。それまでにもっともっと右の握力を鍛えまくるぞ。目標は大台の70越えだ」

「はい!」

『こうして、夏の大会に向けてさらにトレーニングを積み上げていった古田君。こうして迎えた夏の甲子園秋田大会。この大会の開幕は同時に、これから伝説として語り継がれるであろう古田君の二刀流劇場の開幕でもありました』
 
 1回戦
     123456789 計
 腕金  42312     12
 三ツ井 00000     0

 2回戦
    123456789 計
 腕金 10423     10
 増口 00000     0

『1回戦を右、2回戦は左でそれぞれ先発した古田君は、共に無安打無失点の完璧な投球を披露すると、打線も2試合連続の大量得点で応え、腕金高校は2試合連続の5回コールド勝ちを収めました。しかし、これはまだ二刀流劇場のほんの序幕に過ぎなかったのです』

 3回戦
    123456789 計
 川物 000100000 1
 腕金 020010130 7

 準々決勝
    123456789 計
 腕金 100012002 6
 五郷 000000001 1

『3回戦を右、4回戦は左でそれぞれ先発した古田君は、9回を投げ共にソロホームランによる1失点のみとうまたまた素晴らしい投球を披露し、見事ベスト4まで勝ち残ります。そして準決勝、相手は去年決勝戦で20対2という屈辱亭なスコアで敗れたあの強豪桜館高校でしたが……』

 準決勝
    123456789 
 桜館 0000
 腕金 1001

『1年前と同く右で先発した古田君は、4回までをノーヒットで抑えます。味方が2点を先制したところも含め、まるで去年の再現かのような試合展開でした。しかし、去年はここから失投を連発し桜館打線に捕まってしまった古田君。果たして今年こそは、リベンジなるのでしょうか?』