安達弾~打率2割の1番バッター~ 第30章 もうすぐ夏の甲子園開幕⑪

2022年5月1日

    123456789 計
 腕金 100410012 9
 縦手 000000010 1

『本格的に二刀流を始めてから2カ月後に出場した秋季大会。左で先発した初戦こそ9対1と危なげなく勝つことができた腕金高校でしたが……』

    123456789 計
 腕金 210030200 8
 沢湯 000002134 10

『その翌日に行われた右で先発した試合では、前回の登板と同様後半から失投が増え、8対10の逆転負けを喫してしまいました』

「古田、右の握力は今どれくらいだ」

「前に測った時は、丁度50でした」

「一応成長はしているみたいだが、それではまだまだ1試合投げ切るには不十分のようだな。来年の春季大会までには、最低でも60越えを目指すぞ」

「はい!」

『こうして、更なるトレーニングを続けること8カ月。春季大会を目前に控えた古田君の右手の握力は、目標にしていた60キロを超える64キロを計測するにまで成長していました。ここまで鍛えれば、きっと9回まで安定したナックルボールを投げ切れるはず。安田監督もチームメイト達も、そして古田君自身もそう信じていました。ところが……』

     123456789 計
 秋田東 121202000 8
 腕金  001201021 7

『地区予選こそ勝ち上がることができたものの、右で登板した春季大会の初戦でまさかの敗北。古田君が投げるナックルは終盤まで目立った失投もなく安定こそしていたものの、変化量に乏しく簡単にバットに当てられてしまうような別物の球になっていました』

「なぜだ? あれだけ鍛えまくったっていうのに、どうして前よりもナックルの質が落ちてるんだ? くそっ、さっぱり原因がわからない」

『ナックルが思うように投げられず苦悩する古田君でしたが、いつも古田君の球を受けているキャッチャーの菊池君には、思い当たる節がありました』

「なあ古田、もしかしたらだけど、9回まで安定したナックルを投げ切ることを意識するあまり、力をセーブし過ぎてるんじゃないか? 今度の練習試合で試しに、ペース配分とか一切何にも考えずに思いっ切り力を込めて投げ続けてみろよ」

『この菊池君の助言が、古田君が復活する大きなきっかけとなりました』