安達弾~打率2割の1番バッター~ 第30章 もうすぐ夏の甲子園開幕⑩

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 桜館 0000
 腕金 0002

『初回はフォアボールを2つ出すなど制球に苦しみながらも、桜館打線は古田君の投げるナックルボールに1度もバットを当てることすらできないまま三者連続三振に抑えられました。そして2回以降も得点どころかヒットすら1本も打てないまま4回まで抑えられると、その裏腕金は4番菊池君のツーランホームランが飛び出しリードを奪います』

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 桜館 000012
 腕金 000200

『しかし、5回にナックルの失投をホームランにされると、6回はヒットとフォアボールで満塁のピンチからタイムリーツーベースを打たれ逆転を許してしまいます』

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 桜館 000012359 20
 腕金 000200000  2

『一時はリードを奪うなど大健闘したものの、回を追うごとに明らかな失投が増えていき、最終的には18点もの大差を付けられ歴史的な敗北を喫してしまった腕金ナイン。しかし、選手達も安田監督もすでに前を見ていました』

「後半はともかく、前半はあの桜館打線を完璧に抑え込んでいた。古田、右での投球を本格的に練習してみないか?」

「俺もやってみた方がいいと思うぜ」

「あのナックルはやばかった」

「9回まで投げられる体力が付けば、下手すりゃ左で投げるよりも結果残せるじゃねえか?」

「絶対に挑戦するべきだよ」

「みんながそう言うなら……やってみるか。まあどうせ、しばらく左での練習はできなそうだしな」

『こうして、右での投球練習を本格的にスタートさせた古田君。前代未聞の、右と左の二刀流ピッチャーの挑戦が始まりました』

「いいか、ナックルを安定して投げるためにはとにかく握力が必要らしい。この前の試合で後半一気に失速したのも、握力が足りなくなったからだろう。古田、まずは現地点での握力を測定してみろ」

「42キロですね。ちなみに、左だと49キロでした」

「全然足りないな。まずは左越えの50キロ。そしてゆくゆくは60、70とさらに上を目指して、9回までナックルを投げ続けられる握力を鍛えていくぞ」

「はい!」