安達弾~打率2割の1番バッター~ 第27章 夏の甲子園千葉大会準決勝 龍谷千葉VS三街道⑰

 細田が投げた初球のカットボール、そして2球目のスライダーと、清村弟は2球続けて見逃した。

(どちらもいい変化球だ。うちの打線が手こずるのも頷ける)

 1塁には、相変わらず大きなリードを取る清村兄の姿があった。

(兄貴は右だからそこまで気にならないかもだけど、左ピッチャーの俺には嫌でも目に入ってくるから地味にイラつくんだよな。でも、ここで牽制なんていれたら相手の思う壺だ。ここは徹底して無視無視。清村弟を抑えることだけ考えるんだ)

 3球目、真ん中の地面スレスレに落ちるチェンジアップを投げる細田弟と、何とかバットを止める清村弟。

「ボール!」

(振ってくれないか。ならばもう1球)

 4球目、さっきよりも若干内角に、そして高さは同じくらいのチェンジアップを投げる細田弟と、またもやバットを寸止めする清村弟。

「ボール!」

(惜しい。なら今度は球種を変えて……)

 5球目、外角の外からギリギリストライクゾーンへと曲がってくるカーブを投げる細田弟と、そのボールに食らいつく清村弟。

「カーン!!」

「ファール!」

(なかなか抑え切れない。さすがは2年生にして、高校生ナンバー1スラッガーと恐れられるほどの実力者なだけあるな)

(カットボール、スライダー、チェンジアップ、そして今投げたカーブも、すでに高校生レベルではないな。だがそれでも、ファールにすらできない兄貴が投げるカーブと比べれば一段落ちるか。このレベルの変化球なら何とか……)

 6球目、内角ギリギリを抉る細田弟のスライダーを、バットの根本になんとか当てる清村弟。

「カーン!」

「ファール!」

(ファールにはできるな。かといって完璧に捉えるのも難しい。なんせ俺はこの打席、ずっとストレートのタイミングで待ってるからな。さあ細田弟、いい加減ストレートを投げてこいよ)

(変化球では抑えられないか。ならば、渾身のストレートで……)

 7球目、ファーストランナーがいるにもかかわらず、細田弟はいつもよりも若干長いためを作ってから球を投じた。

「カキーン!!!!」