安達弾~打率2割の1番バッター~ 第26章 夏の甲子園千葉大会準決勝 船町北VS千葉修道⑥
(あーくそっ! あのストレートのタイミングに慣れ過ぎて、変化球がきた時の対応が遅れちまった。でも今に見てろよ。この2打席でお前のピッチングは完全に見切った。次の打席で絶対に仕留めてやる!)
ストレート中心で押していった1巡目とは打って変わって、2巡目からは変化球を多用するスタイルに切り替えたと思われた吉田だったが、続く2番バッターの越智には全球ストレートで攻めるなど、キャッチャーの西郷は千葉修道打線に的を絞らせない変則的な配球で吉田をリードしていき、この回も無失点に抑えた。
続く5回表。この回の先頭バッター真山にヒットを許すも、ネクストバッター石塚を低めのチェンジアップを引っかけさせてダブルプレーに抑えるなどこの回も無失点に抑える。
そして6回表。先頭バッター野島に大きな当たりが出るもフェンスギリギリのライトフライで1アウトを取るが、続くバッター小林にヒットを許す。しかしネクストバッターの中原をまるで5回表の再現VTRかのような低めのチェンジアップを引っかけさせたダブルプレーに打ち取って、何とかこの回も無失点に抑えた。
一方、船町北打線の2巡目の攻撃はというと……。
4回裏。先頭バッターの星は、くるとわかっているフォークボールをなかなか打つことができないまま2ストライクまで追い込まれていた。
(ダメだ……全く打てる気がしない。こうなりゃ得意のセーフティーバントを試みるしかないか)
そう思い至った星は相手の守備位置を確認するが、しっかりと前進守備が敷かれていた。
(無理そうだな。ならばプッシュバスターで内野守備の頭を超える打球を狙うか)
そうこう考えている内に、中原が投球を始める。
(何としても当てにいってやるぞ)
バントの構えをしてそのまま打ちにいこうとする星だったが、中原は星のバントの構えを見て、咄嗟にフォークボールをわざとワンバンするように投げた。
「カーン!」
星は何とかバットに当てるも、打球を上げることができずに前進守備をしていたサード滝村の素早い打球処理で楽々アウトにされてしまった。
(今の狙って投げたのか? ヤバイな……こんなピッチャー、安達くらいしか打てないぞ)
しかし、星に続いて2番野口、そして頼みの綱の3番安達と、2人続けて空振り三振に抑えられた船町北打線は、その後も5回6回とヒットの1本すら打てないまま中原にパーフェクトピッチングを許すこととなった。
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千葉修道 000000
船町北 000000
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