安達弾~打率2割の1番バッター~ 第22章 春季大会3回戦 船町北VS千葉修道②
船町北高校スターティングメンバー
1 星(中)
2 野口(二)
3 安達(一)
4 山田(右)
5 石川(三)
6 滝沢(左)
7 佐々木(遊)
8 西郷(捕)
9 比嘉(投)
千葉修道スターティングメンバー
1 野宮(中)
2 越智(右)
3 立花(二)
4 真山(一)
5 石塚(左)
6 滝村(三)
7 野島(遊)
8 小林(捕)
9 中原(投)
1回表、船町北の攻撃。
1番バッターの星は、2球続けて中原が投げたストレートを見送った。
(球速は130キロ代だが、それ以上に速く感じる。なるほど、監督が言っていた通りかなりキレの良いストレートだな。だが、これも監督が言っていた通りだが……)
中原の3球目、真ん中低めに球がくる。
(比嘉のストレートに比べたら、大したことはない)
バットを振る星。しかし、途中までストレートと同じ軌道を描いていた球が、急に落ちた。
(何っ! そこから落ちるのか)
「ストライク! バッターアウト!」
(くそっ、中々手強いフォークボールだな)
続く2番バッター野口は、ストレートを捉えきれず追い込まれた後、セーフティーバントを試みるも中原のフォークにバットを当てることすらできずアウトとなった。
そして、3番バッター安達の打席がきた。
(こいつは要注意バッターだ。半端な配球では抑えられないぞ)
千葉修道のキャッチャー小林は、今まで追い込んだ後の決め球として中原に投げさせてきたフォークボールを、今度は最初から2連続で投げさせた。
「ストライク!」
「ストライク!」
1球目も2球目も、内角の低めにきたフォークボールを安達は見逃した。
(あの見逃し方……恐らくストレート狙いだな。ならば3球目もフォークでいく)
3球目、小林は外角低めへミットを構えるも、中原のフォークは少しだけ高めに浮いた。それを安達は見逃さなかった。
「カーン!!!!」
安達の打球は高く高く上空に打ち上がった。
(あっぶねー。ちょっと高めにいって焦ったけど、打ち損じてくれて助かったぜ)
中原はほっと一息つきながら打球を目で追いかけた。上空に打ち上がった打球が、どんどん小さくなっていく。
(あれ、全然落ちてこねえぞ。内野フライかと思ったけど、外野までいきそうだな)
センターを見ると、フライを見上げながら後ろへ歩きながら下がっていたが、途中で慌てて走り出した。
(えっ、おいおい間に合うか?)
中原が心配そうに見つめる中、センターは何とか打球に追いつきフライをキャッチするも、勢い余ってセンターフェンスにぶつかってしまった。
「アウト!」
フェンスにぶつかっても、センターはボールをしっかりとキャッチしたままだった。
「ちっ、ダメだったか」
そう悔しがる安達はなんとすでに、セカンドベースを回っていた。それを見ていた小林は、安達の驚異的なパワーとその走力に驚かされていた。
(あの打ち取った当たりがあわやホームランかよ。そしてもしも今センターが落球していたら、ランニングホームランになっていた所だぞ。ホント危なかったな。よし、次から安達は絶対に敬遠しよう)
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船町北 0
千葉修道
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