安達弾~打率2割の1番バッター~ 第22章 春季大会3回戦 船町北VS千葉修道⑭
2打席連続で初球の甘いコースの球を打たれてしまった吉田。その反省を踏まえて、今度はもっと厳しいコースギリギリを責めていこうと心に誓うも、思ったようにはいかなかった。
「ボール!」
「ボール!」
(際どいコースなのに、どちらもボールか。くそっ、この審判ストライクゾーン狭いな。そして、打者もキッチリと見逃してくる。7番バッターでもこのレベルかよ。さすがは千葉修道)
「ストライク!」
「ボール!」
(2打席連続で初球打ちしてきたかと思ったら、今度は冷静に見極めてくる。本当に嫌な打線だぜ)
「ストライク!」
(よし、何とか追い込んだ。ラストは1番自信のあるチェンジアップで三振だ)
吉田の考えを読んでいたかのように、比嘉もチェンジアップのサインを出す。
(まずはこれで、2アウトだ!)
吉田が渾身の力を込めて投げたチェンジアップ。バッターの野島は一瞬スイングしようとするも、ギリギリの所でバットを止めた。
「ボールフォア!」
(あのチェンジアップを見極めるか。ていうかまずいぞ。まだ1アウトだってのに満塁になっちまった。もしもホームランでも打たれようものなら、あっという間に1点差だ。いやいや、そう後ろ向きに考えるな。ホームランを打たれてもまだ逆転されない。そうだ、前向きにいこう)
迎えるバッターは、8番の小林。
(満塁ってことは、守りやすくなったってことだ。併殺で一気にゲームセットになる可能性も高まった。そうだ、あとちょっとで終わらせられる。気合入れて投げてくぞ)
初球。内角低めへのチェンジアップ。
「ストライク!」
2球目。また内角低めへ、今度はカーブを投げる。
「ストライク!」
(どちらも際どいコースだったが、ストライクを取ってくれた。完全に流れはこちらにきているぞ)
そして3球目。外角低めへのチェンジアップ。ストライクゾーンよりも低めに外れる球だったが、つい反応してしまったバットを小林は止めることができなかった。
「ストライク! バッターアウト!」
(ふー。4人目のバッターでやっとアウト1つか。本当に骨が折れる。だがこれでもう安心だ。次のバッターは投手の中原。今までの打席でのスイングを見るに、バッティングは大したことはなさそうだ。ここで中原を抑えればゲームセット。試合終了だ)
しかし、ここで千葉修道は中原に代打を出した。
123456789
船町北 000211121
千葉修道 000001002
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