安達弾~打率2割の1番バッター~ 第21章 春季大会開幕②
川合の公式デビュー戦は、いきなり1、2番を連続三振で抑えるという幸先のいいスタートを切った。
(ようし、順調順調。このままデビュー戦で完全試合といきますか)
しかし、ここから悪夢が始まった。
「コラッ! ほとんどボール球を振っていたぞ。相手のピッチャーはコントロールが定まっていない。だからよく見ていけ」
「はい!」
相手校の監督は、最初の2打席で川合のコントロールの悪さを見抜いてそう指示を出した。そしてそこから、川合はなんと3者連続で四球を出して満塁のピンチを作ってしまう。
(3番以降、相手は1度もスイングしていないたい。こりゃ完全に川合のコントロールの悪さを見抜かれているたい。そして今日の川合は、いつも以上にコントロールがバラバラたい。こうなったら、おいどんにはどうしようもないたい)
結局川合は4者連続で四球を出し、押し出しで初回から失点を許してしまった。
(練習のマウンドと比べて微妙に固さや高さが違うからか、いつも以上にコントロールがしづらいな。でも、少しは慣れてきたぞ。次こそはボールを4つ出す前に、ストライクを3つ入れてやる)
しかしここで、無情にも川合は交代を告げられてしまった。
「ちょっと監督、まだ初回なのにそりゃないっすよ」
「馬鹿を言え。初回から4つも連続で四球を出されたら、交代しない訳にはいかんだろ」
「くっそーこれから調子が出そうだったのに」
こうして、川合の公式デビュー戦は初回3分の2を投げて奪三振2四球4失点1という散々な結果に終わってしまった。
(いきなり満塁のピンチで登板か。でも、不思議と緊張しないな。練習試合で散々投げてきたからかな)
1回の表2アウト満塁のピンチで登板した吉田は、冷静に変化球を低めに集めるいつも通りのピッチングを披露し、内野ゴロで後続を断った。吉田は2回以降も安定したピッチングを披露し、7回までを被安打4奪三振5無四球無失点という内容できっちりとまとめた。
一方打線の方は、初回の山田の2点タイムリーヒットや安達のスリーランホームランを含むチーム2桁安打に2桁盗塁で10点をもぎ取り、見事7回コールド勝ちを収めた。
123456789 計
千葉西 1000000 1
船町北 213121✕ 10
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