安達弾~打率2割の1番バッター~ 第20章 特待生 比嘉流星の入部㉒

 続いてピッチングマシンの球を打ち返すバッティングの練習が始まると、3人はそこでも先輩達との実力差を見せつけられることとなった。

(安達先輩やべー。打球の半分以上がホームラン級の当たりだ)

(この先輩もスゲーな。長打コースの当たりを連発している)

(他の先輩達も飛距離こそないけど、確実に球をミートしている。バントやバスターの小技もできるのか。器用だな)

 おい新入り。次はお前達の番だぞ。

「はい!」

(速っ! ていうかこのピッチングマシン、マウンドよりも前に置いてあるじゃんか。道理で速く感じる訳だ)

「カーン!」

(ダメだ。当てるのがやっとで、打球をまともに前に飛ばせない。先輩達はこんな球を打ってたのかよ)

(うわっ! このピッチングマシン、変化球も投げてくるのかよ。これじゃあヒットどころか、バントですら難しいぞ)

 結局3人とも、まともな打球はほとんど飛ばせないまま打撃練習が終了した。がっくりと肩を落とす3人に、先輩達が優しく声をかける。

「まあ、初めはそんなもんだよ」

「俺達も慣れるまでは全然打てなかったしな」

「ドンマイ」

 

 新入部員3人の入部初日の練習も、そろそろ終わりに近づいていた。

「よし、今日の練習はこれで終了だ」

(やっと終わりか)

(疲れたー)

(腹減ったー)

「では最後に、恒例のベースランニング測定だ」

(げっ!)

(まだ残っているのかよ)

(早く帰りてー)

「じゃあ今回は、3年、2年、1年の順に走ってもらうか」

 3年の先輩達が次々とベースランニングを走り、タイムを告げられていく。

「村田、14.48」

「野口、14.32」

「山田、14.13」

 全員当たり前のようにベースランニングを14秒台で走るその様に、3人はただただあっけにとられていた。

「星、13.83」

(速っ!)

(部長は13秒台かよ)

(ここの先輩達、ヤバ過ぎる)

 3年、2年と順番にタイム測定が進んでいき、とうとう1年の番がやってきた。

「比嘉、14.85」

(げっ、こいつまで14秒台で走りやがった)

(お前俺達と同い年のくせに凄すぎなんだよ)

(ちくしょう。こうなったら意地でも14秒台で走り切ってみせる)

 しかし、3人のタイムは練習の疲れもあり散々な結果に終わった。

「佐藤、16.28」

「田中、16.49」

「渡辺、16.71」