安達弾~打率2割の1番バッター~ 第17章 夏の甲子園決勝 龍谷千葉VS大阪西蔭⑳

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 龍谷千葉VS大阪西蔭の夏の甲子園決勝戦を見届けた船町北高校野球部員全21人は、数十秒間沈黙していた。自分達のチームに勝利した龍谷千葉高校が、7対1という大差で敗れたという事実を受け入れるのには、そのくらいの時間が必要だった。

「上には上がいるもんだな」

 重い空気を壊すように、鈴井監督が話を切り出した。

「そしてお前らの現状は、大阪西蔭に敵わなかった龍谷千葉の実力にすら、遥かに下回っている。そんなチームを俺達が倒して甲子園に出場するには、これから死に物狂いで練習していかないとな。そこでだが、また練習試合を組むことにした。明日から30日までの9日間、また毎日違うチームがうちと試合をしにやってくる。走塁練習やバッティング練習にも力を入れながら、実戦でその練習の成果をガンガン試して経験を積んでくれ」

「はい!」

「7日から14日間連続で練習試合。そして今日の1日挟んでまた9連戦。それに加えて、通常の練習や走塁練習までこなしてもらう訳だから、明日からの9連戦を終える頃には相当な疲労が溜まっていることだろう。そこで、31日は部活を休みにする。1日中寝てるもよし。実家に帰るもよし。遊びに行くもよし。たった1日の束の間の夏休みだが、せいぜいゆっくりしてくれ」

 今年の夏休みは1日も休みがないことを覚悟していた部員達は、たったの1日ではあるが予想外の休みがもらえたことに、狂喜乱舞した。

「よっしゃー!」

「休めるぞー!」

「ひゃっほー!」

「おいおい、お前ら喜び過ぎだぞ。それじゃあ取り合えず31日の休みがくるまでは、しっかり頑張ってくれよ」

「はい!」