除夜の鐘(東京新聞300文字小説没作)

 あるお寺の住職さんは、今年の大晦日に除夜の鐘をつくかどうかで真剣に悩んでいた。

 数年程前から、除夜の鐘がうるさいという苦情が近隣住民からくるようになった。その数は、年々増え続けている。一昔前ならこんな苦情がくることはありえなかったが、これも時代の流れ。もう除夜の鐘は中止するしかないのだろうか。

 しかし、除夜の鐘がないと年を越せないと思ってくれている住民も大勢いる。そのため、中止したら中止したでまた苦情が殺到することは目に見えている。

 住職さんは悩んだ末、今年の大晦日は除夜の鐘を、そーとつくことにした。