ブーケトス(東京新聞300文字小説没作)

 友人の結婚式も終盤にさしかかり、ブーケトスの時間がやってきた。

 独身の女性達が花嫁の近くに集まる中、男の私は邪魔にならないよう後ろの方に下がってその様子を見ていた。

 花嫁が投げたブーケは勢いよく放り出され、まるで弾丸ライナーのような軌道を描きながらぐんぐんと伸びていった。そしてそのブーケは、あろうことか私の所まで飛んできて、私は思わずキャッチしてしまった。

 その瞬間、会場中の視線が私に集まり笑いが起こった。

 あんな恥ずかし思いをしたにも関わらず、私は未だに独身です。