疲れ(東京新聞300文字小説掲載作)
私はほとんど毎日仕事をしていた。たまの休みの日も、すぐ仕事に戻れるよう準備を常に怠らなかった。当然、疲れもたまる。そのため、仕事の能率は少しずつ落ちていった。
しかし、雇い主はこう言うのだ。
「遅っせえなあ、ナニちんたらしてんだよ」
私は必死に働いた。疲れた体に鞭を打ち、少しでも雇い主の期待に答えるために。疲れはますます蓄積されていく。仕事の能率はますます落ちていった。
とうとう、私はリストラされた。疲れ知らずで動きの素早い新人が後釜に選ばれた。今までの仕事で得た秘密情報が外部に漏れないよう、私の記憶は完全に消去された。
こうして、私、パソコンの一生は終わった。
東京新聞の300文字小説に初投稿で初採用された作品なので個人的にとても思い出深いです。
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