撤退(東京新聞300文字小説没作)

「やっと文明を持つ生物が存在する星を見つけたな」

「ああ。宇宙連合に加入していない未確認の星だし、俺達の星よりは文明が劣るだろうから、色々と指導してやろうぜ」

「ん? あのキノコみたいな大きな雲は何だろう?」

「あそこに降りてみるか」

「原子爆弾だったのか」

「これはひどい。まさに地獄絵図だ」

「子供や女性が多いな。兵士ではなさそうだ」

「てっきり、戦争で兵士を倒すために落としたもんだと思ったが、これはどういうことだ?」

「よくわからないが、この星の連中は残虐性が強いってことだけは確かだな」

「こんな連中に高度な文明を指導しても、悪用されるのが落ちだぞ」

「この星はもう、撤退した方が良さそうだな」

「ああ」