将来の夢(東京新聞300文字小説没作)

 西暦2050年。とある小学校にて。

「将来の夢。三年一組伊藤太郎。

 ぼくの将来の夢は、野球選手になることです。いっぱいホームランを打って、ホームラン王になりたいです。

 もしも野球選手になれなかったら、お医者さんになって、病気の人を助けてあげたいです。

 もしもお医者さんにもなれなかったら、公務員になって、安定した生活を送りたいです。

 もしも公務員にもなれなかったら、どこでもいいので正社員になりたいです。

 もしも正社員にもなれなかったら、最悪宇宙飛行士にでもなろうと思います」

 宇宙開発が進んだ未来の世界では、宇宙飛行士は誰にでも簡単になれる、子供が憧れない職業の代表になっていた。