洗濯機のプレゼント(東京新聞300文字小説没作)

「ばあさんや、プレゼントじゃ」

「おじいさんありがとう。これは何?」

「これはな、洗濯機といってのう。スイッチを押すだけで洗濯をしてくれるすごい機械なんじゃ」

「すごい。これを使えばわざわざ川へ行かなくても洗濯ができるわね。でも、こんな立派な機械、高かったんじゃないの?」

「なあに、柴刈り三か月分程度の値段じゃよ。気にするな」

 その翌日。

 おじいさんはいつものように山へ柴刈りに、おばあさんは家で洗濯機を回していた頃、川ではどんぶらこどんぶらこと、大きな桃が誰にも拾われないまま流れていきましたとさ。おしまい。