温泉映画館(東京新聞300文字小説没作)

 都内某所にあるこの温泉テーマパークは、かつて観光客で大繁盛していたが、近年は客足が遠のき経営が悪化していた。

 そんな状況を打破するため、この温泉テーマパークの新たな目玉施設となる温泉映画館を作ることになった。温泉映画館とはその名の通り、温泉に浸かりながら映画を見られるという世界初の施設だ。

 温泉映画館が完成すると、初日から予想以上のお客さんで賑わった。

 ところが、映画に夢中で温泉に長い時間浸かり過ぎて倒れるお客さんが続出。

 温泉映画館の営業は、わずか一日で中止となってしまった。