お気づきの点(東京新聞300文字小説没作)

『万が一商品にお気づきの点がございましたら、お求めの月日・店名をご記入の上現品を包装ごと下記宛にお送りください。代品と郵送料をお送りいたします』

 私が食べていたお菓子の包装に、こんな記載があった。私はほとんど食べ終わっていたそのお菓子の残りを包装に入れると、お気づきの点を書いたこの手紙と共にお菓子会社へと送った。

『このお菓子を食べていて気がつきました。私はこのお菓子が大好きだと。嫌なことがあった日でも、このお菓子を口にするだけで気分が晴れやかになります。どうかこれからもこのお菓子を作り続けてください』