招き犬(東京新聞300文字小説没作)

「あのーすみません。招き猫屋さんにこんなお願い失礼かもしれないですけど、招き猫の犬バージョンって作ってもらえたりしますか?」

「ええ大丈夫ですよ。ただ、オーダーメイドになりますので、お値段は少々高くなりますけどよろしいですか?」

「構いません。ぜひお願いします」

「犬がお好きなんですか?」

「いえ。特にそういう訳ではないんです。ただ、猫だけはどうしても避けたくて」

「どうしてですか?」

「実は僕、猫アレルギーでして」