孫のためなら(東京新聞300文字小説没作)
夏休み。子供達を連れて田舎で一人暮らしをしている父の家に遊びに行く予定でしたが、コロナの影響もあり今年は断念することになりました。
そんなある日、突然知らない番号から電話がかかってきました。
「もしもし、どちら様ですか?」「わしじゃよわしわし」
わしわしって、これはもしかして、新手のわしわし詐欺? なんて一瞬頭によぎりましたが、その声は確かに父のものでした。
「新しくスマホを買ったんじゃ。それで相談なんじゃが、みんなでZOOMでもしないか?」
つい最近までスマホどころかガラケーすら持っていなかった父から、まさかZOOMという言葉が出てくるとは。長年の機械音痴を一瞬で克服させる、孫の力は偉大です。
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