恋の神様(東京新聞300文字小説没作)

 私は恋の神様。若者たちの恋を成就させることが私の仕事だ。

 私には、好きな場所で一時的に雨を降らせる能力がある。

 私はこの能力を駆使して、男女2人を同じ場所に雨宿りさせることで今まで数々の恋を成就させてきた。

 ようし、今日も仕事するか。雨よ降れ。

 あれ? あの男、かばんから何か出してるぞ。何やってんだろう?

 あっ、突然傘が飛び出してきたぞ。何なんだあれは?

 折り畳み傘の出現により、私は年々仕事の失敗が増えていき若者達の恋愛離れがどんどん進んでいってしまった。