喫茶雨宿り(東京新聞300文字小説没作)

 道を歩いていると、突然雨が降ってきた。天気予報では雨の予報なんてなかったのに。

 どこか雨宿りできるところないかな。あっ、こんな所に喫茶店が。しかも名前が喫茶雨宿りなんて凄い偶然。せっかくだしここで雨宿りしていくか。

 最初はガラガラだった店内も、すぐに次々とお客さんが入ってきた。

 どうやらみんな、雨宿り目的で入ってきたらしい。

 店内が満員になった丁度その時、外の雨がやんだ。

 私は会計を済ませると、店を出た。

「店長、今日の売上、いつもの3倍ですよ」

「よーし。大成功だな。まさか屋上からホースで雨を降らせて雨宿り目的の客を増やす作戦がここまでうまくいくとはな」