気遣い(東京新聞300文字小説没作)

 ひどい土砂降りだ。出掛けたくないし、出前でも頼もうかな。でもこんな土砂降りの日に出前にきてもらうのも申し訳ないし、やっぱりやめておくか。

 一ヵ月後。今日は暑いな。出掛けたくなし、出前でも頼もうかな。でもこんな暑い日に出前にきてもらうのも申し訳ないし、やっぱりやめておくか。

 半年後。今日は寒いな。出掛けたくなし、出前でも頼もうかな。でもこんな寒い日に出前にきてもらうのも申し訳ないし、やっぱりやめておくか。

 数年後。そういえばここ何年も出前頼んでなかったな。久しぶりに注文してみるか。

「あなたがお掛けになった電話番号は、現在使われておりません」

 優しい人達が多く暮らすこの町では、出前専門店が潰れやすい。