金金(東京新聞300文字小説没作)

 ミスが多く会社を首になってしまったうっかり者の太郎。再就職先が見つからず、ため息をつきながらハローワークから出てきたところを、突然男が話しかけてきた。

「お兄さん、就職先を探しているのならうちで働いてみないかい?」

「本当ですか! ぜひともお願いします」

 しかし、実はこの男、オレオレ詐欺グループのリーダーで就職先が見つからずに悩んでいる若者を雇っては詐欺をさせてその利益を独占していたのだ。

「いいか太郎君。このマニュアル通りに電話をかけるんだ」

 太郎は早速、最初のターゲットとなるおばあさんの家に電話をかけることとなった。。

「もしもし、どちら様ですか?」

「金金、金だけど、俺貸してくれないかな?」