ビール持ちの達人(東京新聞300文字小説没作)

 最近居酒屋でバイトを始めた僕は、ビールジョッキをうまく運べなくて困っていた。

「先輩、僕、ビールジョッキを一度に4つしか持てなくて。先輩みたいにたくさん持てる持ち方教えてくれませんか?」

「ああいいぞ。ここをこうしてこうすると、ざっと12個くらい一気にいけるぞ。まあお前は初心者だから、半分の6個くらいから練習してみろ」

「はい。えーと、ここをこうしてこうすると、おー6個いけました。先輩の説明めちゃくちゃ分かりやすかったです。ありがとうございました」

「いやいや」

「それにしても、これを一度に12個も持てちゃう先輩ってマジ半端ないですよ。まさにビール持ちの達人ですね」

「そういうお前は、太鼓持ちの達人だな」