雨宿りって何?(東京新聞300文字小説没作)

「ねえねえお母さん、今読んでる本に出てきたんだけどさ、雨宿りって何?」

「雨宿りっていうのはね、雨がやむまで軒下とか木かげで待つことよ」

「えっ? わざわざ待たなくたって天気予報見ればわかるじゃん」

「昔はね、天気予報がよくはずれてたから、突然予想外の雨が降ってくることが多かったのよ」

「へー昔は大変だったんだ」 

 天気予報の的中率が100%になった未来の世界では、雨宿りという言葉はもはや死語になっていた。