8月31日(東京新聞300文字小説掲載作)

 8月31日、僕は夏休みの宿題に追われていた。この調子だと今夜は徹夜になりそうだ。

 はぁー、せめて、あと1日だけ夏休みが増えてくれたら助かるのに。きっと僕と同じ気持ちの小学生達が今頃たくさんいるんだろうな。

 そんな事を考えながら窓の外を眺めると、丁度流れ星が見えたた。僕はとっさに願い事をした。

「夏休みを増やして夏休みを増やして夏休みを増やして」

 気がつくと朝になっていた。どうやら机の上で寝てしまったらしい。

 時計を見ると、8時を回っていた。やばい、遅刻しちゃう。

 まだ宿題終わってないけど、とりあえず学校に行かなくちゃ。

「お母さん、学校行ってきます」

「何言ってるの、今日は8月32日。まだ夏休みよ」