五月病(東京新聞300文字小説没作)

 四月から新しい部署に転勤になった私は、慣れない環境で慣れない仕事に追われ、精神的にも肉体的にも疲れ果てていた。

 四月の末から五月にかけての大型連休でリフレッシュしようと思ったが、連休が終わるとかえって仕事に行くのが辛くなった。

 ついには会社に行こうとするだけでひどい吐き気に襲われるようになり、とうとう会社を休んでしまった。なるほど。これが五月病ってやつか。

 私はなんとかこの五月病を治すため、最近近所にできた病院に向かうと、入口のドアにこんな貼り紙が貼ってあった。

『先生が五月病のため、しばらくの間休診します』